当公益社団法人は、社会が抱える諸問題を構造的に深堀・発信するべく、社会科学の専門家による自由闊達なWeb対談やシンポジウムを開催・運営しています。
社会の問題を構造的に深堀し発信する
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、日本経済は急激かつ大幅に後退しました。政府によれば2020年度の実質経済成長率は対前年比でマイナス5.2%の見通しとなっています。とりわけ奈良県を支える観光経済に目を向ければ、日本人の国内旅行消費額は2020年5月には前年比約9割の減少となっています。感染拡大防止と経済活動の両立は非常に難しく、今もなお感染拡大防止のために経済活動の抑制を余儀なくされている状況です。
こうした現状の中、当公益社団法人は、2019年度に取り組んだMMT研究会(Modern Monetary Theory:現在貨幣理論)での成果を踏まえ、「SSL Forum」事業を立ち上げました。この取り組みは、社会科学分野の専門家によって社会を構造的にとらえることを通じて、社会の歴史や階層上の構造問題を深堀して発信していくことを目指したものです。
コロナからの早期回復に向けたWeb対談開催
今回の取り組みとして、下記のとおり「コロナ恐慌緊急提言」と題したマクロ経済学の専門家によるWeb対談を企画・開催しました。そして、対談を動画に収録し当公益社団法人の公式WebサイトやYouTubeを通して公開することで、より多くの閲覧者・視聴者に提案し、感想や意見を求めていくこととしました。
対談テーマ | 対談者 | 公開日 Youtube |
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コロナ恐慌緊急提言 第1章 |
浜田 宏一氏 (元内閣官房参与、イェール大学名誉教授) 藤井 聡 氏 (元内閣官房参与、京都大学大学院教授) 飯田 泰之氏 (明治大学政治経済学部准教授、当公益社団法人理事) |
5月1日 Youtube |
コロナ恐慌緊急提言 第2章 Part-1 「財政均衡主義への固執を断ち切れ!!」 |
飯田 泰之氏 (明治大学政治経済学部准教授、当公益社団法人理事) 井上 智洋氏 (駒澤大学経済学部准教授) 中里 透 氏 (上智大学経済学部准教授) |
5月8日 Youtube |
コロナ恐慌緊急提言 第2章 Part-2 「米国の巨大な財政・金融政策。その時日本は?」 |
5月12日 Youtube |
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コロナ恐慌緊急提言 第2章 Part-3 「本当の危機はこれからだ!」 |
5月19日 Youtube |
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コロナ恐慌緊急提言 第3章 「売り上げ3か月完全蒸発!大企業も債務超過に?」 |
浜田 宏一氏 (元内閣官房参与、イェール大学名誉教授) 中井 康之氏 (全国倒産処理弁護士ネットワーク理事長、弁護士) 川井 徳子氏 (当公益社団法人専務理事) |
6月25日 Youtube |
第1章及び続く第2章では、従来は是とされていた財政均衡至上主義も今回のコロナ禍においては捨て去るべき考え方であるとの共通認識のもと、第1章ではアベノミクスにも関わってきた元内閣官房参与の2名に、第2章では気鋭の経済学者3名に、各々新型コロナに立ち向かい日本経済を復活に導く経済政策について、500兆円規模の金融・財政政策を次々と実行に移してきた米国の事例も紹介しながら対談していただきました。
これらの内容を受け、第3章では、経済学者で元内閣官房参与の浜田宏一氏と倒産・事業再建の第一線で活躍する弁護士の中井康之氏から、コロナで落ち込んだ企業を単なる「融資」や「貸付」という形で救済することはもはや困難であるとの認識に基づき、大規模な財政出動や債務超過を防止する企業再生支援スキームの構築を核とするアフターコロナへのあるべき政策について提言していただきました。
また、このWeb対談と併せ、様々な専門家の知見を含めた調査・研究をベースとする新型コロナ感染症対策に関する提言書を作成し、この提言書を基に、奈良県選出の国会議員、政府関係省庁、県内の自治体や関係団体等への提言活動を実施しました。
「SSL Forum」で社会の活性化に貢献
「SSL Forum」は、社会科学分野の専門家による従来にない自由闊達なディスカッションの場を企画・運営することで、社会的問題とその解決方向を科学的・構造的に深堀・提示することを目的とする当公益社団法人の事業です。
コロナ禍が長引いている現況を踏まえ、引き続きコロナ禍から早期経済再生に向けた提言活動に取り組むとともに、今後はコロナに留まることなく幅広い分野における課題にもアプローチすることで、社会の活性化に貢献することを目指していきます。