伝統木造建築 伝統的空間に関連 する匠の技を未来につなぐ・世界に発信する

当公益社団法人では、日本の伝統的空間を未来につなぎ、世界に発信する活動を推進・サポートしています。

 

伝統的空間がもたらす波及効果

伝統的空間がもたらす波及効果

日本の原風景を形作る伝統的な建物や庭などの空間。それを支えてきたのが伝統的構法と匠の技です。木や土のように生きている自然の素材を加工して利用する伝統的な日本建築並びに作庭、石垣建造等の巧妙な技術は、我が国独自のもので、外国には例がありません。そして、これらの技術が継承されてきた背景には、自然と共に生き、自らもまた大いなる自然の一部だけと感得しつつ、常に素材の特徴に目を向けて技術を磨いてきた日本人の努力と英知の蓄積があります。
しかし、これらの技術は、高度経済成長以降の産業構造の変化や日本人の価値観・生活スタイルの変化等により厳しさを増しています。建築基準法の壁や後継者不足等の問題を抱え、存亡の危機に瀕しているとも言われ、とりわけ豊かな森林資源を有し法隆寺等の伝統木造建築が数多く存在する奈良県では、林業や伝統産業の衰退は地元経済への大きな打撃となっています。
このような状況の中、文化庁では檜皮葺、左官技術等の17の保存技術で構成される「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」を2020年秋にユネスコ無形文化遺産登録を目指して申請されることが決定しました。しかしながら、日本の伝統的空間は今回の選定技術だけではなく、幅広い分野の技術によって受け継がれてきました。今後、更に多くの伝統技術が選定されることで関連業界に大きな経済効果と波及効果が生まれ、地域及び日本経済の創生・活性化が期待できます。

 

 

シンポジウム・フォーラムの開催をサポート

伝統的建築工法並びに伝統的な建築に関連する匠の技術のユネスコ無形文化遺産への活動を主導してきたのは、故中村昌生氏(京都工芸繊維大学元名誉教授)を会長として発足した「一般社団法人 伝統を未来につなげる会」です。本会は、中村会長が提唱した『庭屋一如』に基づき、伝統工法による木造建築を継承するとともに、建築を取り囲む自然との共生を促すことで、大自然との関係を修復することを目的として活動を進めています。当公益社団法人も同会の設立趣旨に賛同し、様々な活動をサポートしてきました。
その一環として、4月28日、明治大学アカデミーホールにおいて、講演&パネルディスカッション「普請文化フォーラム2018~未来へ継承すべき伝統建築・庭園・石垣技術」が開催され、当公益社団法人も共催団体として参画しました。本フォーラムでは、それらの現状を改善するために「全ての職人に光を!」という目標を掲げ、開催しました。
第1部として、内田祥哉氏(東京大学名誉教授・建築家)に基調講演「日本建築の伝統的な価値を巡って」を、千田嘉博氏(奈良大学教授・城郭考古学者)に特別講演「加藤清正の名城熊本城の大普請」というタイトルで講演を行っていただきました。

 

 

また、2部のパネルディスカッションでは、コーディネーターとして後藤治氏(工学院大学理事長)、パネリストとして進士五十八氏(福井県立大学学長。造園学者)、島崎英雄氏(専門学校職藝学院オーバーマイスター)、小林正美氏(明治大学副学長。建築家・都市デザイナー)、飯田泰之氏(明治大学政治経済学部准教授)にご登壇いただきました。「伝統建築技術の継承・活用で切り拓く日本の未来」をテーマに建築をはじめとする、各分野専門の方々から新たな切り口のディスカッションとなりました。
職人の方々がメッセージを発する「職人宣言」のコーナーでは、各職人の方々が想いを熱く語られました。
また、11月23日には、明治大学アカデミックフェス2018において「〜Discovering Japanese culture〜日本の伝統建築の魅力とその理由」の開催を後援しました。
近代までの日本人は人間も自然の一部として認識しており、暮らしや住まい方も、自然と一体化することを目指してきました。本シンポジウムでは失いつつある日本の住まい方を捉えなおすためにグローバル目線で見た日本が持つ魅力と持続可能な社会について深めていきました。

 

シンポジウム
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