当公益社団法人は、安堵町の歴史的財産の再発掘のための調査研究と関連する行催事の支援を行ってきました。さらにその成果を生かし、観光や地域経済の活性化に結び付ける近隣の自治体との連携を模索しています。
安堵の偉人
安堵町(2019年2月1日現在:面積4.31平方キロメートル、人口7,436人)は、過去から多くの文化人・偉人を輩出してきた町です。古くは聖徳太子にさかのぼり、太子が斑鳩と飛鳥を馬で通った太子道、休憩のため腰かけたと伝えられている御幸石が現存しています。晩年の住まいであった飽波葦墻宮(あくなみあしがきのみや)が安堵にあったという伝承もあります。また、戦国時代には、筒井氏一族である土豪「中氏」が活躍しました。
さらに、幕末以降、天誅組に加わった国学者伴林光平と親交があった今村文吾、文吾の甥で奈良県再配置運動を推進した今村勤三、勤三の四男でBCG接種を確立し大阪大学第5代総長を務めた今村荒男、と続きます。
そして、今村荒男と親交が深かった近代陶芸の巨匠富本憲吉はこの安堵町の地で後世に残る名作の数々を生み出してきました。
今村 勤三
今村 荒男
富本 憲吉
安堵町 明治150年記念事業のサポート
平成30年(2018年)は、明治元年(1868年)から満150年の年に当たります。これを記念し、明治以降の歩みを次世代に遺すことや、明治の精神に学び、日本の強みを再認識する機会とすべく、政府、地方公共団体と民間団体は連携して「明治150年」に向けた関連施策を推進しました。
その一環として、当公益社団法人も安堵町からの委託を受け、取り組みを行ってまいりました。
安堵町内への取り組み
2018年11月2~4日、トーク安堵カルチャーセンターにて「第32回安堵町文化祭」が開催されました。最終日の4日には、「安堵町文化講演会&小説『大和維新』トークセッション」が行われ、当公益社団法人がこれを後援しました。
この講演会はシティープライドの確立を目的に地域住民が安堵町について深く学び、新たな発見ができるものとして開催されました。
第1部では、西山厚氏(帝塚山大学文学部教授)による「法隆寺と聖徳太子」というタイトルで講演を行いました。また第2部のトークセッション「『小説 大和維新』~大和の小さな村から歴史が動いた~」では、コーディネーターを当公益社団法人の川井徳子専務理事が務め、パネリストとして植松三十里氏、吉田栄治郎氏(公益財団法人郡山城史跡・柳沢文庫保存会研究員生)が登壇されました。
安堵町外への取り組み
安堵町を広く世の中の人々に知って頂くために、シティープロモーションとして書籍の出版を安堵町へ提案しました。
その結果、安堵町出身の偉人の一人である今村勤三を主人公とした小説『大和維新』を、『リタとマッサン』の著者で有名な歴史小説家の植松三十里氏に執筆していただきました。
また、11月11日には、明治大学リバティーホールにおいて、安堵町・明治150年記念シンポジウム「大和維新」の開催を後援しました。このシンポジウムはシティープロモーションを目的に、安堵町の強みを再認識すべく、開催されました。
第1部に先立ち、明治大学政治経済学部飯田ゼミの皆様による安堵町プロモーション動画が上映されました。
第1部の基調講演では、土屋恵一郎氏(明治大学学長で能楽プロデューサー)による基調講演「能と安堵町」が行われました。
続く第2部では、植松三十里氏(歴史小説家)、岡本彰夫氏(元春日大社権宮司、奈良県立大学客員教授)、吉田栄治郎氏(公益財団法人郡山城史跡・柳沢文庫保存会研究員)をパネリストとするパネルディスカッション「古代、中世、そして明治へ。大和の改革の普請」が行われ、コーディネーターを当公益社団法人の川井徳子専務理事が務めました。
今後も安堵町の魅力を深めると共に、少しでも多くの方に興味を持っていただけるよう、今までの経験とノウハウを活かした取り組みを行っていきたいと思います。